【映画レビュー】フランシス・ハ
※この記事はネタバレを含みます。お気になさる方は閲覧をお控えください。
※映画の筋と感想が混じっている部分があります。ご容赦ください。
「フランシス・ハ」
公開年:2012年
監督:ノア・バームバック
主要キャスト:グレタ・ガーウィグ
ミッキー・サムナー
1.フランシスとソフィー
27歳の売れないダンサーのフランシスは大学時代からの大親友ソフィーとルームシェアをしています。
2人は自分たちを「熟年のレズビアンカップルみたい」と言っています。
フランシスはソフィーとの同居をいつまでも続けたいと思っていますが、ソフィーは彼氏との結婚と日本についていくことを決断します。
2.新しい部屋
フランシスはパーティーで出会った男性の誘いで新しい友人たちと新しい部屋でシェアハウスを始めます。
ソフィーとの息の合った生活とは違い、意思疎通が難しい個性的なルームメイト達に困惑しながらも生活していました。
そんななか、上司でもあるダンスの先生にアサインされていた、講演から外されてしまい、当面は無職となってしまいます。加えて、今まで「自分はダンサーだから」と敬遠していた事務所を勧められます。
3.束の間の夢
無職となり、本業のダンス以外で働かざると得なくなったフランシス。
出身大学が主催するパーティーで一時スタッフとして働きます。そんなとき、日本から一時帰国していたソフィーと夫に偶然会います。
ソフィーは柄にもなく、泥酔しパーティー内で色んな人に絡んでいます。どうやら、ソフィーの日本での生活
も順風満帆という訳でもなく、夫が不倫をしていることも発覚したそう。
久々に再会したフランシスとソフィーは、パーティー後フランシスの部屋で過ごし、ベットに入ります。
お酒のせいか、現実逃避か、ベットのなかで2人は「また一緒に住もう」と計画します。ソフィーは以前働いていた「仕事に戻りたい」とも。
しかし、翌朝ソフィーは出ていきます。フランシスの部屋から、そして大学時代から続いていたモラトリアムという幻想から。フランシスが追いかけるも追いつかず、現実と向き合わなくてはいけないということにはっきりと気づきます。
4.それでも走る
フランシスはダンスの先生に勧められた事務の仕事を受け入れ、事務員としてパソコンの前で働く日々。
家も引っ越し、新しい部屋に越すところで映画は終わります。
環境が変わったといえ、フランシスの人生が大きく変わったわけではありません。むしろ、劇的な変化や成長を求めていたフランシスに待っていたのは、「そんな風にはなりたくない」選択。
しかし、どんな選択でも自ら選び、新しい道を歩み始めたフランシスは清々しい顔をしています。
きっと、フランシスはこれからも家を出る直前に慌ただしく準備をするでしょうし、ダンサー一筋の人生の可能性を捨て切れないまま生きていくのでしょう。でも、時に現実逃避をすることがあってもフランシスは「生きて」いきます。
ちなみに、タイトルでもある「フランシス・ハ」の「ハ」の由来がラストシーンでお茶目に描かれているので、
最後まで必見です!笑
[感想]
総括して、あまり起承転結がはっきりしない映画という印象でした。
といっても、フランス映画ではよく見かけるパターンですし、観客側も期待はしていないので、良かったのですが。
主人公フランシスの所作が「丁寧に生きていない」様を表していて、劇中でも言及された「顔は大人びているのに言動は子供っぽい」という部分が自然と感じられるような演技でした。
どことなく、そのだらしなさたるやHBOドラマの「GIRLS」のハンナに通じるところがあったような…笑
フランシスは27歳という年齢(日本でいう所謂結婚適齢期)で「大人になりきれない大人」として描かれていますが、観客としてのフィルターを外してフランシスの言動を自分に置き換えると、なんとなく納得できるというか「もしかしたら自分も傍からみればフランシスのような部分があるかも?」という共感と危機感を体験するでしょう。
なんだか、強く心を打つというよりか、何度も何度も見返して、フランシスと一緒にこのくだらない人生を「生きて」いきたいと思える作品でした。