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It hurts, it still hurts.

【映画レビュー】第1回「リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)」

【映画レビュー】第1回「リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)」

 はー…皆様初めまして。好き勝手書く害悪ブログの第1回映画レビューです。
映画レビューと銘打ったはいいものの全く新作話題作ってわけではなく
自分のためだけに自分の好きな映画の感想を書くだけです…。
いつか宇宙人が地球にやってきてインターネットを知ったときに、
物好きな宇宙人にでもこの文章が読まれるといいな…。

 


今回のお話の章立ては以下のかんじですです。
1.映画の概要
2.ネタバレあり結末
3.私の好きなシーン
4.全体を通して

 

1.映画の概要

公開年 : 2006年
監督 : ジョナサン・デイトン及びヴァレリー・ファリス夫婦
キャスト: アビゲイル・ブレスリントニ・コレットグレッグ・キニアポール・ダノ

 この物語の主人公オリーブちゃん(設定はきっと小学校低学年くらい?)は割とギスギスした家庭に育ったにも関わらずとにかく前向きな女の子。
成功主義だけどいまいち本質を捉えていないお父さんや前向きだけど前向きにしないとやってられないというようなお母さんの元に生まれ、
少し年の離れた思春期を「こじらせる」のお手本の様なお兄ちゃんを持ち、
口が悪くて平凡で穏やかな日常よりトラブルの方が好きなおじいちゃん(実際身内にいたらかなりキツイ…)に見守られ
それでも前向きに毎日過ごしています。


そんな毎日のなか、恋人とのいざこざで自殺未遂をしたおじさんが家にやってきました。
そのころ、オリーブちゃんは「リトル・ミス・サンシャイン」という美少女コンテストに予選通過したことで
片田舎から都会に行きたい!!行きたい行きたいーー!と言い出します。


年端もいかないオリーブちゃんを1人で行かせるわけにもいかないし、
更にこの家族は社会の問題児だらけなのでバラバラに行動すること自体が爆弾を抱えるようなもの。
思いきって家族全員でおんぼろ車に乗って都会のコンテスト会場をめざします…。


この道中でとにかく色んなことがあるロードムービー


2.ネタバレあり結末

映画好きの方でなくとも知っている有名なこの1作。今更ネタバレも何も…という感じはいたしますが以下は物語のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 


最後、ギリギリで(もうほぼアウトくらいのギリギリ)家族はコンテスト会場に到着します。
でも周りはスレンダーでファッショナブルな女の子たちばかり…。これから10年と経たないうちに彼女たちの多くが
チアリーディング部の門をたたくのでしょうね。

周りのリトル・ミス・サンシャイン候補と会場の雰囲気に圧倒されるオリーブちゃん。
ここでひねくれもののお兄ちゃんが言い出します。
「こんなところにでても笑いものになるだけだ。オリーブが挫折を味わうのは早すぎる。出場をやめさせよう。」
嘲笑されるにはあまりにも純粋で幼いオリーブちゃん。


でも舞台に立つオリーブちゃん。ポージングとダンスを披露しますが、私たち観客の願いは通じず、止められる寸前。
家族はあまりにも場違いなパフォーマンスに「今すぐやめさせろ!」と注意をうけます。
しかし、この旅を通して「負け組としての誇り」に気づいた家族たちはオリーブちゃんをステージから降ろすどころか、
自分たちまでステージに上がって狂ったように踊り出してしまいます。


周りは唖然。もちろん、大人の方々にこってりしぼられ、なんとオリーブちゃんは今回のコンテストの開催場所であるカリフォルニア州
美少女コンテストへの出場を今後一切禁じられます。


現実は厳しいものですが、家族はもうへこたれません。ろくに車との役割を果たさないオンボロ車に乗って
何か吹っ切れたように自宅への帰路を急ぎます。

 

3.私の好きなシーン

この映画全編を通して私のような未熟者が語れるようなものではないのですが、
一言で言い表すならば「負け組としての人生讃歌」。

前向きなキャラクターと可愛らしい映像を最大限活かしながらも、プロットはあまりにも現実的で負け組に厳しい。
だからこそ、「負け組からの一発逆転!こんなに豊かで幸せになれました!」ではなく、
「だめなあなたでも、生きてゆきましょう。生きていればいいことがある。それが望んだかたちじゃなくても。」と
本当に求めているメッセージを私たち観客の心に深く刻んでくれるのだと思います。


そんな本作ですが、ラスト近くのシーンでオリーブちゃんのお兄ちゃんと自殺未遂をしたおじさんが
珍しい2ショットで男同士の語り合いをするシーンがあります。

お兄ちゃんは「人生なんてミスコンだ。全部勝負。勝負、勝負、勝負…。くだらないし苦痛だ」と言います。
おじさんはそれを否定するでもなく「苦痛こそが人を成長させる。高校生活?そんなの絶好の『苦しむ』機会じゃないか。その時を逃すなんてもったいないよ」
と言います。茶目っ気たっぷりで。


このおじさん、実は哲学の学者さんなんですね。そして、彼の長年研究している学者さんは長い間芽が出ずとにかく「負け組」な人生だったそうです…。
ですが、おじさんはよき研究者でありながら、よき心の持ち主でした。
人生の先輩として、おじさんなりの言葉でこの厳しい世の中を生きていく見方を甥っ子に授けたのですね。


このシーンは白を基調とした2人の衣装が背景の海に映えて素晴らしい映像ですし、
この映画1番の名言が詰まった部分だと思っています…!!(完全個人的意見)


4.全体を通して

好き勝手に映画を少ない語彙力と稚拙な文章力で語った第1回でした。
とにかく素晴らしい映画なので全世界の人に見てほしい!!というのが何より伝えたいことです。


そしてこの映画で語られるような「ポジティブな負け組意識」私は大好きなんです。
だめな自分を受け入れながら、でもだめなまま変わらなくてよくて…世の中は相変わらず厳しいけど、それでも自分の芯が揺らぐことはない。


もし毎日目が覚めてこんな風に思えたら、小さな幸せを発見していける人になれるのだろうなと私は思います。


もし、インターネット上にこの文章を読んで下さった方がいたらそれはそれは嬉しいことです。